財務分析:安全性分析(1)短期安全性

財務分析のつづき。

 

(3)安全性分析

ここでいう安全であるとは、極端にいえば「自分のお金をたくさん持っています」ということ(中小企業診断士2次試験合格者の頭の中にあった全知識2019年度版)。

 

短期の支払能力をみる指標:

流動比率流動資産/流動負債×100(%)

当座比率当座資産/流動負債×100(%)

③手元流動性比率=(現金預金+有価証券)/月商(売上高÷12)(%)

 

流動比率

流動資産と流動負債は、BSでは小計が振ってあるので、100%を超えているかはすぐわかります。

こちらでも書いたとおり、流動比率は中小企業にはあんまり使えない比率かもですね。

キーワード: 在庫、仕掛品、棚卸資産、短期借入金

 

当座比率

当座資産は、流動資産の中で、現預金、有価証券、売掛金および受取手形から貸倒引当金を引いたもの。流動資産の中でも、より現金化しやすい資産のこと。

企業診断2020年8月号によれば、中小企業診断士試験2次筆記試験での過去の出題回数は、流動比率0回、当座比率3回(当然ながら2020年度試験除く)。後述の長期安全性に比べて約半分の出題数とのこと。

キーワード: 現金、売掛金、短期借入金、資金繰りが厳しい・悪化

 

③手元流動性比率

簡単にいえば「現金が月商の何倍あるか」という指標。少なくとも1か月分は必要とされている。

書籍「1秒!で財務諸表を読む方法【実践編】では、

・手元流動性=(現預金+すぐに売れる資産+すぐに借りられる与信枠)÷月商

として、

「手元流動性は、月末などで、大企業で1か月分強、中堅企業で1.5ヵ月、中小企業だと1.7ヵ月分くらい持っていると安全です。」

とありました。

※「すぐに借りられる与信枠」には、銀行から与えられている与信枠や「コミットメント」(0.25%程度の手数料を支払って、必要なときに資金を借りられる契約)の他に、割引可能な受取手形やファクタリング(銀行やリース会社に売掛債権を売却すること)可能な売掛金を含めます(残念ながらこの「すぐに借りられる与信枠)の数字は貸借対照表からだけではわからないそうです)。